home >>> いろいろな「塩」の違いとは? TOP >>> 塩作りの原理 >>> 一般の天日塩が「NaClだけを採ろうとする」事情

【参考】一般の天日塩が「NaClだけを採ろうとする」事情

その1.食べる塩と食べない塩

一年間に日本で消費される塩の量は、およそ900万トン。ですが、そのうち食用(家庭用食塩から味噌・醤油など加工食品全てを含む)は14%ほど。残りの86%は食用以外の用途(ソーダ工業用など)です。ソーダ工業とは、主にNaClをNa+(ナトリウム)とCl-(塩素)に分解し、苛性ソーダやソーダ灰など工業製品を作るための原料を作る産業です。つまり、日本で消費される塩のほとんどは食用以外なのです。食用以外の用途では、できるだけ純粋なNaClの方が使いやすく、当然ながら、おいしい必要はありません。日本は「安価で、ほとんどNaClだけの塩」を大量に必要としているのです。その代表的な塩が「オーストラリア・メキシコ産の天日塩」。この塩なくして現在の日本の化学工業は成り立ちません。

また、この「オーストラリア・メキシコ産の天日塩」は日本の食用の塩の多くを占める塩(再製加工塩など)の原料としても使われています。

このように、現実的に日本で消費されている塩の7割以上は、「オーストラリア・メキシコ産の天日塩」であり、それを作ることは「NaClだけを採ること」。逆に言えば、「NaClだけを採ること」ではない天日塩は、とても珍しいのです。

その2.扱い勝手を悪くする成分・・・マグネシウム分とカリウム分

各ミネラルの味と性質」にもあるとおり、マグネシウム分・カリウム分は海水に含まれる成分の中で最も溶けやすい性質です。それゆえ、これらの成分がある程度含まれると、その塩は空気中の水分にさえ溶けやすく、湿気りやすい塩になります。

湿気った塩を厳密に見ると、塩の粒の周りが溶け始めているということ。溶け始めたその塩の粒が、ちょっとした環境の変化で乾燥し始めると、隣り合わせた塩の粒同士がくっつき始めることになります。そしてそのくっつき合った塩の粒を、大量の塩として見ると、それは大きな塩の固まりになります。大きな塩の固まりを、移動させたり袋詰めするのは至難の業。このような扱い勝手を悪くする成分はなるべく含まれないようにするためにも、一般の天日塩作りでは、「NaClだけを採ること」とに繋がっています。

その3.生産効率を下げる成分・・・カルシウム分

カルシウム分を塩に含ませるためには、「塩作りの原理」のページにあるとおり、ナトリウム分が固まり始める濃度(25%)より、ずっと薄い海水から塩を析出させ始めねばなりません。これでは塩を作る時間が長くなり生産効率が落ちます。

さらに、「塩作りの原理」の図にもあるとおり、カルシウム分が固まるタイミングとナトリウム分が固まるタイミングはほとんど重なっていません。つまり、カルシウム分は、ナトリウム分とは別に分離して、先に固まるのです。ですから、塩の成分を均一にするためには、カルシウム分を全体に混ぜ合わせなくてはなりません。少量の塩ならまだしも、大量の塩を平均に混ぜるのは大変なこと。もし行うとすればですが、それは生産効率の低下を意味します。

ちなみにカンホアの塩の専用天日塩田は、1回の収穫で200kgから400kg程のとても小さな規模。手作業で混ぜ合わせています。

戻る 「塩作りの原理」へ