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photo by Masaharu SHIRANE
presented by Nikkei Business Publications, Inc.
鳥取県の専業農家に生まれる。生来の料理好き。高校生の頃から自然食に興味を持ち、ベジタリアン料理、精進料理を研究する。「菜懐石 仙」(東京・世田谷)のオーナーシェフ。家庭で簡単に楽しめるベジタリアン料理教室も主宰する。野菜にトコトン向き合ってつくり出された料理とお菓子は、さまざまなカテゴリーを超え、独自の魅力にあふれる。シンプルでいてアイデアいっぱい。深く優しい味わいと満足感があり、野菜の個性をあらためて実感させられるものばかり。
2008年5月現在、「日経ヘルス」(日経BP社)、「やさい畑」(家の光協会)、「おかずのクッキング」(テレビ朝日)、「nid [ニド]」(エフジー武蔵)に連載中。
また、著書には下記がある。
カノウユミコさんの本(すべて野菜料理です)
野菜料理と言えば、カノウユミコさん。そんな印象です。ご自身のお店(菜懐石 仙)では、精進料理の厳格さを守りつつ独創的に。また料理教室や本では、カジュアルで斬新なアイデアが次々と登場します。レシピを見て、ときどき「えっ、こんなのおいしいの?」と驚かされますが、作ってみるとその新しいおいしさが分かります。
ところで、彼女は料理するとき、最初に目の前の野菜に「どんな風に料理されたい?」と心で尋ねると言います。そしてその答えによって、料理が始まる。野菜だって生き物です。そのときそのときのご機嫌やコンディションもありそうです。こうして生まれた野菜の料理たち。「野菜だけなんて」と思う方、是非一度試してみてください。野菜ほど味・質感・色・形とバラエティーに富み、季節感のある食材はないかも知れません。
私(鹽屋の代表)が、彼女と初めて会ったのは、今から十数年前。その頃、彼女は東京で、おやき(天然酵母の創作総菜パン)のお店を始めようと準備していました。エコロジー関係のイベントで一緒になり、その試作品も食べさせてもらいました。当時(主に海外で2年ほど)菜食をしていた私は、「日本にもこんなカジュアルにおいしいベジタリアンものがあるのか」と驚かされました。そのすぐ後、彼女は東京の荻窪に、小さなお店をオープンしました。いつも10種類ぐらいのおやきがあって、どれもおいしかったですが、中でもヒット商品は「貧乏人のすきやき」。精進ですから、ネーミングもイカしてました。そしてそのお店を始めてしばらくした後、たまの週末(お店の休業日)に場所を借りて精進の料理会を始めました。私は何度かその料理会の手伝いをさせてもらったことがあり、その頃から特に親しくなりました。今思えば、その頃の「お店」と「料理会」という2つのチャンネルが今の彼女に投影できます。
現在彼女は、菜懐石「仙」というお店をしながら、料理教室や料理本の執筆をしています。どちらも彼女らしさを携えていますが、「仙」の方は、いわばプレタポルテ。そして料理教室や料理本の方は、オートクチュール。そんな私のイメージです。そしてこれは十数年前とも通ずるところがあります。当時は料理会がプレタポルテで、おやきのお店が、オートクチュールだったと。今も当時もこの二極性が、彼女の中で独特のバランスを保っているように感じます。この両方を並行してやることで、彼女の中の何かが進んでいき、新しいものが生まれていく。さて、今後もまた新たな二極の展開があるのでしょうか。あるでしょう。それは期待したくなることなのです。
1998年2月、塩田の脇に野積みされた塩
友人たちに実際に見てもらった写真
(古いデジカメでの撮影)
変な話ですが、カノウユミコさんには、「カンホアの塩」ができ上がる前に味見をしてもらったことがあります。
私が初めてカンホアを訪れたのは、1998年の2月。その滞在中、散歩コースの途中に塩田があり、その脇に野積みされた塩がありました。私は何日かそれをなめるうち、病みつきになっていました。(このへんの下りは、このサイトのこのページで触れています) そしてそれを一握り、おみやげに日本に持って帰りました。帰国後、何人かの友人に集まってもらい、カンホアの写真を見ながらその塩をなめてもらいました。その「何人かの友人」のひとりがカノウユミコさんでした。彼女をはじめその場の友人たちが、その「塩」に興味を持ってくれたところから「カンホアの塩」の商品開発が始まりまったのです。
それから紆余曲折、およそ10年を経た今、ありがたくもこうして「カンホアの塩」のレシピを作ってもらっており、とても感慨深いものがあります。次の10年後はどうなっていることか。想像もつきませんが、とても楽しみなことは確かです。
「カンホアの塩」
(有)鹽屋(しおや)代表
下条剛史