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湖塩のグループ

自然現象で出来た「湖塩」とは?

日本にはありませんが、世界には(淡水ではなく)塩水の湖、塩湖というものがあります。死海やカスピ海、北米ではソルトレイクシティーのグレートソルト湖、また南米ではウユニ湖などが有名です。

それらは見ようによっては岩塩が出来る途上との見方も出来ます。その塩湖に出来ている塩が「湖塩」、そしてその塩湖の塩水が「湖塩水」です。塩湖も岩塩同様、陸地の移動などで海水が閉じこめられて湖になるケースや、岩塩が、流れ込んだ河川や地下水に溶けて湖塩水になっているケースなどいろいろ。また、死海やカスピ海は、常に河川の流れ込みがありながら、その出口はなく、湖水は蒸発し続け、塩湖であり続けています。

このように「湖塩水」も「湖塩」も元々は海水でしたが、それになるまでの道のりはその場所によって様々なため、一概にその成分を定義することは出来ません。しかし湖塩の原料である「湖塩水」や「湖塩」は、いずれも『海水を濃縮して出来たもの』なので、「塩作りの原理」がその出来方に反映します。ですから、仮に塩湖を塩田と見立てると、天日製法で作られた塩(天日塩)と似たところがあります。

(釜焚)湖塩

  • 原料:湖塩
  • 工程:溶解・平釜(または立釜)

この「(釜焚)湖塩」は、すでに塩として出来上がっている「湖塩」を原料に、一度溶かして『濃い塩水』を作り、それを釜で焚いて結晶させた食塩です。「湖塩」はそのままでも塩ですですから、「溶解」して再結晶させる必要もないように思えますが、「湖塩」は長い時間露天で濃縮された湖塩水が結晶しているため、通常夾雑物が多く、食用にするには一度「溶解」して夾雑物を除く場合が多いのです。そのため、ここでは、「溶解」して「釜焚結晶」させた「(釜焚)湖塩」を例に挙げています。ちなみに「湖塩」を「溶解」せずにそのまま食塩としたものは、自然現象とは言え天日だけの結晶なので、「天日湖塩」(原料:湖塩 工程:なし)になります。

天日湖塩

  • 原料:湖塩水
  • 工程:天日

塩湖の『濃い塩水』である「湖塩水」を原料に、「天日結晶」させた塩が、この「天日湖塩」です。上記の「(釜焚)湖塩」のところで、少し「天日湖塩」に触れましたが、それと違う点は、人間が「天日結晶」していること。ひとつの見方としては、『濃い塩水』を作った後に塩を結晶させて作る「天日(海)塩」と似ています。しかし、「天日(海)塩」の場合と違い、「湖塩水」という『濃い塩水』は人間がコントロールして作ったものではないため、ここでは、『その成分は様々』としか言いようがありません。仮にニガリ成分がその「天日湖塩」に多く含まれているとすると、それを減らしたい場合は、「天日結晶」の後、「洗浄」すれば減りますし、「洗浄」せずそのまま多くのニガリ成分を残すことも出来ます。

釜焚湖塩

  • 原料:湖塩水
  • 工程:平釜(または立釜)

一見、二つ上の「(釜焚)湖塩」と似てますが、この「釜焚湖塩」は「(釜焚)湖塩」のように「湖塩」を原料としているのではなく、「湖塩水」を原料としています。ですから「溶解」の工程がありません。

この「釜焚湖塩」は、一つ上の「天日湖塩」の言わば釜焚き版。「天日湖塩」と同様に「湖塩水」を原料に、「釜焚結晶」させた塩です。「天日(海)塩」と「釜焚(海)塩」の関係と同じように、天日で塩を結晶させるには、その土地の気候やそれなりに広い天日塩田などがないと出来ません。この「釜焚湖塩」は、それら何らかの理由で釜で焚く方が適している土地での結晶方法と言えましょう。

塩湖のない日本で湖塩は聞き慣れない塩ですが、カスピ海などは巨大な塩の生産地でもあり、世界の中ではそれほど珍しくはありません。この「釜焚湖塩」も、「天日湖塩」と同様に、まずは原料の『濃い塩水』の成分、そしてそれをどのようにして結晶させているかで、食塩の成分・味に大きく影響します。「天日(海)塩」と「釜焚(海)塩」は、世界中ほとんど同じ成分の「海水」が原料なので、塩作りのスタートラインは同じですが、この「天日湖塩」「釜焚湖塩」は、その「塩湖水」の成分がそれぞれ異なるため、同じようには語れません。しかし、『海水が濃縮されて出来たもの』なので、「塩作りの原理」はあてはまります。したがって、その湖塩の成分などを見ることで、その原料である「湖塩水」の成分や結晶法をさかのぼって推測することは出来ます。

再製加工塩