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塩作りの原理

海水を濃縮して起こること

前のページ「各ミネラルの味と性質」にあるとおり、海水の様々なミネラルは、みんな味が違う。そして、それらミネラルは、海水を濃くしていくと、早くに析出してくるものもあるし、あとから析出してくるものもある。では実際に海水を濃縮すると、どういうことが起こるかを見てみましょう。下の図は、海水(塩分濃度約3.4%)が濃くなるにつれ、各ミネラルが析出する様子を示したものです。

海水が濃くなり、13%ぐらいにまでなると、カルシウム分(淡いエグ味)が最初に析出してきます。そしてしばらくは、カルシウム分だけが析出し続けます。ですから、例えば、20%ぐらいの塩分濃度では、カルシウム分だけが塩(固体)になっており、ナトリウムをはじめ他のミネラルはまだ母液の中に溶け込んだままの状態です。そして、25%になるとようやくナトリウム分(NaCl)が析出し始め、27〜28%になると、カリウム分・マグネシウム分がナトリウム分と並行して析出し、塩(固体)になっていきます。これが塩のでき方の原理、または自然の摂理とも言えましょう。逆説的に言えば、海水中のミネラル成分たちは、その比率を保ちながらみんな一緒に塩(固体)になっていくのではなく、みんな別々の決まったタイミングで塩(固体)になっていくのです。

原理(自然の摂理)の使い方

例えばですが、カンホアの塩の場合は、「海水の様々なミネラル成分を『全体的に』取り込みながら『おいしいバランス』を作り出すことで、海のような深く豊かな味わいに仕上げる」という考え方です。ですから、様々なミネラル類を適度に取り込むために、この原理を使います。

一方、「NaClだけを採ろうとするする」一般の天日塩作りでは、NaClだけを採るために、この原理が使われます。例えば、カルシウム分は含まれないように、25%から塩を採り始め、また、27〜28%以降NaClとともに含まれてしまうカリウム分・マグネシウム分は、NaClよりも溶けやすい性質を使って、「塩を洗う」ことで落とします。これでも厳密にはNaCl以外のミネラルも残りますが、微量です。

塩のでき方の原理は共通ですが、その使い方が違うと、違う成分・味の塩ができ上がるのです。

(参考) 一般の天日塩作りが「NaClだけを採ろうとする」事情
「一般の天日塩作りはNaClだけを採ろうとする」と書きました。「それはなぜ? NaClだけを採ろうとしなければいいのに」という声をしばしばお聞きします。塩は一般的に「大量生産・大量消費型」のものです。以下の3つの事情は、いずれも「大量に効率よく生産するため」のもの。消費者側としては、それで塩を安く買えることにつながっています。他の物価に比べ、「塩って安いな〜」と思ったこと、ありませんか?

ここまでのまとめ

  1. 海水の塩分(3.4%)には塩辛いだけでない様々なミネラルが含まれている
  2. それらミネラルは味だけでなく、性質(溶けやすさ・固まりやすさ)も各々違う
  3. したがって、海水を蒸発させ濃縮すると、それらは塩(固体)になるタイミングが各々違う

これまで、だいたい以上のことを説明してきました。これからはその応用編になります。具体的な製法そして原料の違いによってどんな成分・味の塩になるか。それを次のページで説明したいと思います。

「塩の違い 〜 製法と原料から」 へ

一般の天日塩作りで「塩を洗う」って、どうするの?

「塩を洗って溶けないの?」とお思いになる方、ごもっともです。でも、NaClだけを残すために、とてもうまく洗える方法があるのです。「各ミネラルの味と性質」のページにもあるとおり、カリウム分・マグネシウム分は最も溶けやすく、ナトリウム分はそれらより溶けにくい。この性質を使います。それにはまずナトリウム分(NaCl)の飽和水溶液(それ以上NaClが溶けない程濃いNaClの塩水)を用意し、それで塩をザブザブ洗います。そうすると、ナトリウム分(NaCl)は溶けずにカリウム分とマグネシウム分が溶け落ちます。また「洗う」ことで夾雑物も同時に洗い流します。

ちなみに、カンホアの塩は、専用の天日塩田で作り上げた味をそのまま天日乾燥して袋詰め。洗いません。だから夾雑物は目と手でひとつずつ取り除いています。これも専用の天日塩田で作り上げた「海のような、深く豊かな味わい」をそのまま塩にするため。いくらおいしい塩を作っても、その後の工程で味が変わってはいけません。塩作りは、隅々までの工程で最終的な味が決まるのです。