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具体的な塩の違い

いろいろな塩の違い、それは製法と原料の違い

塩の成分・味は、「海水中のどの成分がどのくらい含まれているか」によって決まります。それは第一に「製法」。そして海水以外が原料の場合は、「原料」の違いにもよります。よって、「原料」と「製法」の違いで、食塩を大ざっぱにグループ分けしてみました。下に少しスクロールするとある図がそれです。(図の更新:2021年7月5日)

しかしながら、ここで注意して頂きたいことがあります。下の図にはいろいろな「原料」や「製法」の10種類の食塩が示されてますが、どの食塩もその『成分・味』を決定づけるものではなく、目安です。『塩の違いは製法にあり』ですが、その「製法」とは下の図よりももっと詳細な「製法」だからです。(下の図は、2021年7月に一部改訂されました)

例えば原料の「岩塩」「湖塩」「湖塩水」と言ってもそれぞれいろんな成分のものがあるし、製法の「天日結晶」と言っても細かくはいろんな方法があり、いろんな成分・味になり得ます。(定まっているのは海水の成分ぐらいです) また下の図では、結晶の工程後の加工(洗浄・粉砕など)は省かれていますが、それらも食塩の成分・味に反映します。市販されているひとつひとつの食塩の具体的な成分・味は、その成分表やご自分の味覚はもちろん、このサイトや他の情報を応用してご判断頂くしかありません。ご承知ください。

塩の「肩書き」と「履歴」が語るもの

つまり「天日(海)塩」などの食塩の種類名は、人間で言えば、その人の肩書き。そして海水以外の「原料」や「製法」は履歴みたいなものです。「○○会社の部長」であっても、「△△大学卒業」であっても、それで『その人の味(人間性)が決まる訳ではない』ことと同じです。しかしながら、それぞれの「肩書き」や「履歴」にはそれなりの特徴はあります。それを浅く広く大ざっぱに示したのが下の図ということになります。目安とは言うものの、これで「塩の違い」を知る基礎知識にはなるはずです。疑問・ご質問などありましたら、左側のお問合せ(封筒のアイコン)からメールをお送りください。

new この図の更新:2021年7月5日

「原料」のいろいろ

ご覧のとおり、どの塩も元をたどればみな海水です。しかし、塩の「原料」となると、海水だけではなく、(人間が作ったものとして)「天日塩」「ニガリ」、そして(自然現象で出来たものとして)「岩塩」「湖塩水」「湖塩」があります。海水は、世界中でほぼ共通の成分ですが(「海水について」参照)、海水以外の「原料」は、どれも海水とは別物です。それらは「海水が濃縮されて出来ている」ことは共通なので、前のページの「塩作りの原理」も共通して当てはまります。つまり自然に出来たものにもそれなりの「出来方」があり、それもひとつの「製法」と考えると、海水以外の「原料」はすべて、海水から作られた「製法」を内包している「原料」なのです。したがって、それらはすべて海水とは異なったものであり、海水のパーツ(部分的なもの)になります。よって海水とは区別されます。

「濃縮・溶解」の工程

「原料」は次に「濃縮・溶解」の工程に入ります。「濃縮」とは海水を濃縮すること。そして「溶解」とは塩を水などに溶かすこと。この2つはまったく逆のことですが、共通の目的は『濃い塩水』を作ることです。海水を濃縮して『濃い塩水』を作るのが「濃縮」、そして塩を水や海水に溶かして『濃い塩水』を作るのが「溶解」です。塩を作るために塩を溶かすこともあるのです。それは、主にはNaClの純度を上げるため。その他、ニガリを混ぜるなど成分の調整のためだったり、大きな固まりの岩塩や天日塩をいったん溶かして細かい粒に再結晶させるためだったり(砕くより簡単)、などが理由です。また、溶かして夾雑物を濾過することも出来ます。そして、基本的に溶解後の再結晶で元の塩の成分は変わります。

「結晶」の工程

「濃縮・溶解」の工程で出来た『濃い塩水』を濃縮すると塩が結晶してきます。それが「結晶」の工程です。「天日結晶」と「釜焚結晶」では、基本的に温度が異なります。海水に溶け込んでいる成分が固体の塩になるのは、温度によってその度合いやスピードが違ってくるからです。また、「天日結晶」は燃料が要らないこと、そして「釜焚結晶」は、天候に左右されにくいことも大きな要素です。今も昔も燃料が要らないのはいいことですから、天日で塩が出来る地域では「天日結晶」が、そしてそれが難しい地域では(例えば日本のように多湿な地域では)「釜焚結晶」が行われてきました。(沖縄も含め)日本での「天日結晶」は、温室などの設備が必要となります。

また「釜焚結晶」の釜は主に、平らな釜(平釜)と真空蒸発缶(立釜)とがあります。平釜とは、日本などでも昔から使われてきたもので、水分蒸発(濃縮)の効率がいいよう、浅く広い平らな形の釜です。また、真空蒸発缶(立釜)とは、釜(蒸発缶)を真空状態にすることによって、低い温度でも(少ない燃料でも)塩水が沸点に達する原理に基づいて作られた、近代的な釜。縦に長い形なので立釜とも呼ばれます。

上の図では、一般的な「天日結晶」と「釜焚結晶」だけになってますが、その他の特別な結晶方法としては、『濃い塩水』を熱い鉄板の上でジュワジュワっと結晶させたり、ネットに噴霧して結晶させたりする結晶方法などもあります。

いろいろな「食塩」

「原料」が「濃縮・溶解」そして「結晶」の工程を経て、いろいろな食塩になります。それが上の図で一番下段の丸型です。左から、水色が「海水塩」のグループ。緑色が「湖塩」グループ、そして茶色が「岩塩」のグループになります。ちなみに、海岸線が長い日本やベトナムでは、塩と言えば「海水塩」ですが、世界的に見ると、「海水塩」より「岩塩・湖塩」の割合の方が圧倒的に多い(ポピュラーな)のが実情です。

参考ページ:世界・日本・ベトナムの塩事情

それでは、右端の「岩塩」のグループから左へと詳しく見ていきましょう。

岩塩のグループ・・・・・・自然現象で出来た「岩塩」とは?

湖塩のグループ・・・・・・自然現象で出来た「湖塩」とは?

再製加工塩・・・・・・「天日塩」が原料の塩とは?

イオン膜塩・・・・・・イオン(交換)膜製法とは?

釜焚き塩と天日塩・・・・・・ どちらも海水の水分を飛ばして作ります

【参考】釜焚結晶と天日結晶・・・・・・ 「天日結晶」と「釜焚結晶」の違いとは?

【参考】天日製法とは?・・・・・・一般の天日製法とカンホアの塩の天日製法

その他の食塩

上の図は、塩自体の違いの説明が主旨なので、例えば(添加物など)海水由来ではない原料が含まれる塩は、この限りではありません。それは、(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど)固結防止や乾燥を目的としたものもあれば、(海藻の成分を塩に加えた)藻塩など味や見た目を目的としたものなどいろいろあります。それらの塩はもちろん加えられるものによって、塩の成分・味に反映します。

また、焼き塩など上記にはない「焼成」の工程を経た食塩もありますが、それも上記の「原料」や「濃縮・溶解」そして「結晶」の工程を踏んだ後に「焼成」の工程があるため、「焼成」の方法以前に、「どんな成分・味の食塩の焼き塩なのか?」によって、その成分・味が決まってきます。(焼き塩の「焼成」については、カンホアの塩【石窯焼き塩】のページに関連した説明があります。)

このように上記の食塩がすべてではありません。ご理解ください。

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