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カンホアの塩のコンセプト >>> 岩の窪みの塩

お天道様に照らされて出来る塩

天日塩田のアゼに山積みにされた
カンホアで作られている一般の天日塩

私が最初にカンホアを訪れたのは(塩とは関係なく)プライベートな休暇でした。きれいな海があって、素朴な生活が営まれているローカルな村でのんびり過ごそうと訪れた場所でした。村の海辺にあるバンガローに宿をとり、そこから少し内陸に入ったところにある市場への散歩が私の楽しい日課でした。そしてその途中に天日塩田がありました。散歩の途中、塩の収穫風景を眺めたり、塩田にできてる塩の様子を覗いたりするのは、生まれて初めての光景で、かなり胸躍りました。そして何より「塩は海水がお天道様に照らされてできる」という現地では当たり前のことが、とても新鮮に映りました。炎天下歩いていても、「これで塩ができるんだ」と思うと、不思議と一息つけたものです。

そしてある日、塩田の畦(アゼ)に野積みされた塩の山の結晶を一粒、口に入れてみました。口に入れた瞬間、それは「ショッパイ」というより「何だこれは?」という「?」な感じが先でした。そして、じんわりと塩辛いような苦いような、つまりは海のような味がしてきて、やがて身体に溶け込むように染みていきました。このとき私は「塩は海水がお天道様に照らされてできる」ということを体感したように思います。そして、その「おいしさ」は、舌で感じたというより身体が喜ぶような感覚だったのです。

岩の窪みの塩

その後カンホアの塩の商品開発を始めるにあたって、まずは「海水がお天道様に照らされてできる塩を作るんだ」とスタートしました。散歩の途中になめた経験からの単純な発想ですが、カンホア地方の一般の塩の製造工程では、大粒の結晶の粉砕などに釜、つまり火を使います。散歩の途中、私がなめた塩も、その後は釜の中でいったん溶かされ焚き直されていたのです。その火を封印し「お天道様だけで作るんだ」という決め事が自分の中ででき上がったとも言えます。

タイル張りされたカンホアの塩専用天日塩田
ちょうど塩ができ始めたところ

さて、カンホアの塩の試作が始まりました。この地方の天日塩作りは、元々昔のフランス式がベースにあったため、水田のように、泥(粘土)が床になっている天日塩田で作り始めました。が、どうしても、泥が塩に混じったり、逆に泥に混じってしまうミネラル成分がありました。そこで「海水がお天道様に照らされてできる」のイメージをもっと思い巡らせました。そもそも天日塩田は、平らで広い海辺の土地なので、ついつい砂浜のイメージを持ってましたが、「海水がお天道様に照らされてできる」その場所は岩場(磯)なんじゃないかと思い至りました。そしてそのとき抱いたイメージはこんな感じです。

『ある真夏の日の海岸で、波で打ち上げられた海水が、岩の窪みにたまる。ギラギラの陽差しの下、やがてその窪みの底に白い塩が現れる』

岩場なら泥がありません。この後すぐ、カンホアの塩の技術者の方々と相談し、カンホアの塩の試作が再開しました。現実的には「岩場」の代わりに、タイル張りした天日塩田を使います。それはカンホアの塩の専用天日塩田の構造上で一番の特徴になっています。また電動のポンプや、モーターのついた石臼と、やや文明の利器が登場しますが、「海水がお天道様に照らされてできる塩」のイメージはそのままです。